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トリチウム水等放射性汚染水無害化処理方法の新提案

Proposal of detoxification treatment method for radioactively contaminated water such as tritium.


 

●水の性質・水蒸気の新しい物理化学的性質を知る事で福島原子力発電所1号機が要因の多核種放射性物質を含むトリチウム水を海洋に放出せずとも技術的に安価・安全に無害化処理できる新技術を提案する。

 水・H2Oは生命現象をつかさどる根源的物質であり、遺伝子DNAやRNAを構成する四種類のアミノ酸(Aアデニン・Tチミン・Gグアニン・Cシトシン)を結合する接着剤、つまりバインダーであり生体化学合成反応にとって欠かせない物質でもあります。

 水は、水素原子が2個と酸素原子が1個結合した不思議な性質を持つ分子構造で、小学校の理科の授業で最初に学習するお馴染みの物質です。

 常温では液体、0℃以下に冷却すると氷って固体になります。100℃以上に加熱すると蒸気となって気体となります。

 これまで蒸気の性質、その動態についての研究はほぼ皆無に等しいといえます。蒸気の性質は、その粒径から大まかに三通りに分類できます。ヤカンやボイラーから沸騰噴出する水蒸気、そして山・湖水から立ち上るミスト、霧などで、その場に佇むだけで顔や衣服を濡らす、濡れ性の高い粒径100μm〜数ミリ程度の大きな水蒸気粒子です。

 二つ目の性質は空気を分散媒とする水蒸気のエアロゾル粒子です。エアロゾル粒子の大きさ、その粒径は約0.01μm〜100μmの範囲にある粒子です。これらの粒子は市販の超音波加湿器で、常温で簡単に発生させることができます。

これらのエアロゾル粒子の特徴は、親水性の物体を濡らす性質と、同じ水分子であるのに濡れ性が低下する特性を持つことです。

   厚手のポリエチレン密封袋、戸棚の中、金庫の中でも自由自在に入ったり出たりするので、アクリル板のつい立、マスクは勿論、高密度不織布フィルターでも容易に通過するだけでなくパソコンやスマホの内部にでも容易に侵入する性質があります。換気扇による強制換気程度では防止不可能である。

 ※根拠は金属塩等によるエアロゾル皮膜試験。

 冷凍庫の氷がいつの間にか蒸発して小さくなるのは昇華現象によりますが、この見えない水の昇華粒子も上記のエアロゾル粒子の挙動範疇にあると考えられます。冷凍庫内の臭い移りを証明できる科学者は、冷凍庫の脱臭原理を証明できる科学者はいますか? おそらく存在しないでしょう。

 業務用冷凍庫内の照明器具は、独立気泡ウレタンホームに埋め込まれ外側は合成ゴム等のパッキンで完全密封されてますが何故か、何処から入るのか水滴が溜まる現象を物理科学者は説明できますか。

 三つ目の性質は、水蒸気の粒子径が約0.01μm以下の超微細な粒子、つまりはより分子状に近い水のガス状粒子を指します。これらのガス状粒子は成層圏を含む大気圏における拡散速度が速く、粒子同士の運動は互いに反発し衝突したり再結合したりしません。何故ならば、これらのガス状粒子は濡れ性を失って疎水性となり互いに反発しあうからだと考えられます。

 それらのガス状の粒子は偏西風や季節風に乗って世界中、大気成層圏に拡散されます。水の種類がトリチウムであれば、地上に降ることなく、いずれは、希有気体のヘリウム分子となって自然界に還元されるからです。

 ※トリチウムの半減期12.3年でヘリウムに変換される。

 水槽の下部からこれらの水の極微細なガス状粒子を導入しても水槽内の水に溶けることもなく、しかも泡立つこともなく大気中に拡散してしまいます。拡散した粒子は、小さい雨粒、ミストのように衝突しながら互いに結合し、より大きな雨粒粒子となり地上に降り注ぐこともありません。

次回は、ALPS処理水・トリチウム水の処理方法とその装置について具体的に解説します。

つづく。

 

 ●多核種放射性物質を含むトリチウム汚染水,又は多核種除去設備(ALPSで処理したトリチウム汚染水ガス化処理方法とその装置について

            —令和4年6月3日-

はじめに 

 3.11東北大震災による未曾有の巨大地震・大津波で破壊された福島原子力発電所、震災以来10年の歳月が経過し汚染水の安全な除去対策が緊急の課題として解決が求められている。  

 

 その処理法として経済産業省は2021年12月23日,福島第一原発に貯留する「処理水」に関する答申として「海洋放出」と「水蒸気放出」 二つの案が、実効性ある選択肢として検討されている。

 

 いずれの案も,汚染水処理問題安全対策として、漁業関係者,農林関係各位に納得のいく説明責任があり、その対策に腐心されている由、在野の研究者としも他人事ではない。       

 

 「水蒸気放出」に関し政府小委員会の答申として、スリーマイル島原発事故におけるNRCの実績事例を踏まえ選択肢の一つとして検討対照とされている。

 

 であるから、今さら何故?と疑念をもたれるのを承知の上であえて、この新規処理方法とその装置を提案上申する。

 

 「水蒸気放出」は、現状では2021年12月時点で、処理水118万トンを120ヶ月(10年)で349億円の費用をかけて処分する案が、政府小委員会から提示されている。この方法で、自然乾燥方はともかくとして問題の解決には至らず大地を広大に再汚染してしまうのでNGである。

 それと対比させ、当研究所開発の「トリチウム汚染水ガス化処理装置」で処理すれば、小型装置1台で40万トンの汚染水を5〜6年で、すなわち3台の装置で120万トンの汚染水を42億円で処理することができる。

 

 装置のランニングコスト:各種関連機器・ガス化に必要な燃料費を含めたコストは1装置あたり2億5千万円/年. 3台稼働で7億5千万円/年.だから、   5.6年で全量を処理する総費用は、42億円程度で済む。

3台の装置の建設コストは約6億円を合わせても頗る経済的である。

 

 処理装置を3台とし、小型化・分割した理由は、メンテナンス、装置の故障対策,処理した後の装置の利用方を考慮し装置に融通性をもたせた。

  ※参考に、海洋放出コストは、10年で47億円と政府小委員会が試算。

 

     トリチウム汚染水のガス化処理方法の概要

 トリチウム汚染水をアトマイザーにより微粒子化されてできた微粒子は、分散媒となる加熱高温空気連続相でガス状の透明なエアロゾルとなり、それをさらに≒1μm(平均粒度0.1μm)以下の低密度エアロゾル粒子状態に加熱加工すれば、大気対流圏に放出し拡散させても環境への影響は皆無に等しい。

xs 大気対流圏に広域に分散する0.001μm以下のガス状エアロゾル粒子は水分子なのに、本来の性質(親水性)とは真逆の疎水性となり、水の分子同士は、衝突結合することなく反発し合う不思議な動態をとるから、大気中に存在する「水蒸気エアロゾル」、そして大気の「親水性固体エアロゾル」と何ら干渉する事なく独立した運動・動態をとるからエアロゾル粒子同士が凝集したり、凝結核を形成しないので重いミスト(靄)や雨粒の成因とはならない。それ故、地上に雨として落下し沈着する懸念は生じないからトリチウム汚染水処理対策として最善の方法であると考えられる。

 

              当研究所の提案

       トリチウム汚染水を処理する方法とその装置

 トリチウム汚染水を微粒子化装置・アトマイザーで、約250〜1000℃以上の高温乾き空気を分散媒とする連続相に微粒子化させて瞬時に透明なガス状粒子の分散質となす。その分散質を、さらに高温加熱空気連続相で加熱加工させて分子状により近似するガス状粒子を形成させる。

 そして粒径≒0.001μm以下の極低密度分散質となるように、さらに加熱加工させることで、ガス状粒子と加熱空気との混合出口温度は約80〜150℃程度の低温となるから、大気対流圏に放出・拡散させても蒸気及び熱公害を惹起しない。つまりは、従来型の蒸気放出方法とはまったく異なる方法である。

  しかも、仮に放射性各種が混入しても、比重が極めて大なのでサイクロンコレクターで連続して捕集可能であり、10〜50年程度に一回交換するだけで済む。

 

〈装置の実施概要〉

1)実施の具体例1を(Figs. 1)フローシートを用いて説明する。

Figs.1は実施例1のフローシートの概略図である。

 トリチウム汚染水をa から ポンプアップされノズル3の細孔より、Aから導入した圧搾空気ノズル7による2流体ノズルで、ガス化塔2の下部チャンバー内で微粒子化され、LNGガス燃焼装置で加熱した高温空気Aと並流で接触させ熱交換する。

 透明にガス状化された水蒸気ガスc.は水蒸気ガスdに加工され、先端の噴出口1から大気中へ水蒸気ガスbとなって放出される。G.Lは地上、6は装置機器格納架台を示す。            

 送風機で、Bから導入される空気を一次高温加熱空気とした仕様では、アトマイザーは、加圧渦巻ノズル、二流体ノズルでも使用できる。二流体ノズルを用いる利点は他に、Bから導入する高温加熱圧縮空気を500℃以上の超音速にして汚染水をアトマイジングできるメリットがあり、熱交換効率が飛躍的に高まるので水蒸気ガス化塔の熱容量係数(熱伝達係数)を大きくできる、つまりは装置を小型化できる。

 

〈装置の実際の計算例〉

 以下の実際の具体例では、トリチウム汚染水と記載したが,実験では「水道水」」を使用した。

 その理由は、多核種除去設備(ALPS)で処理した処理水に含有するトリチウム(3重水素)は、体積換算で40万トンあたり12.5ml(質量換算15g)程度の超低濃度であり、物理化学的性状は水道水とほぼ同一である。

〈装置の具体例〉

トリチウム汚染水処理量200トン/日(72,000t/年)のガス化処理装置.

1-1)処理水中の溶質(プルトニウム・セシウム137等の遷移金属):ネグレクト(密度が大ゆえに補修は極めて容易である).  処理水温度20℃. 水蒸気ガス化塔内入口温度600℃. ガス化塔先端の排出ノズル温度80℃. 

アトマイザー(噴霧機):2流体ノズルのマルチ方式:圧縮空気;3Kg/㎠. 導入加熱計画空気;全圧760mmHg. 絶対湿度;0.0074Kg/Kg. 比重料;1.22Kg/㎥. 外気温15℃. 表面張力:72.0×10−5N/cm.

1-2)アトマイジングされた液滴微粒子の流れ方向と加熱空気流との熱交換方法は並流で接触させた。「装置設計条件」は、熱収支の計算値に基づき決定される。

「装置の大きさ」 

●ガス化塔の径及び直塔部高さは、φ2,000mm×8,000mm.

●先端のガス放出口径と高さは、 φ1,000 mm×1,500mm                 

1-3)処理水の蒸発熱量:8,300kg/h×(631.5kcal/Kg−1Kcal/Kg・℃×20℃)

                                             =5,075,450Kcal/h. 

1-4)蒸発用空気量:加熱空気温度600℃ ガス化塔排出部の出口温度80℃.         

   i 600−i 80=157.2Kcal/Kg−23.9Kcal・Kg=133.3Kcal/Kg

              故に、5,075,450Kcal/h÷133.2Kcal/Kg=38,104Kg/h.

1-5)空気加熱用熱量:i 600−i 15=157.2Kcal/Kg−8.1Kcal/Kg   

                          =149.1Kcal/Kg  

         故に、38,104Kg/h×149.1Kcal/Kg=5,681,306Kcal/h.

1-6)ガス化塔内熱風速度:ガス化塔内平均温度(600℃+80℃)/2=380℃.

  (38,104Kg/h/1.22kg×3600s/h×553℃/288℃)÷2m×2m×

     0.785≒5.3m/s.  但し、s:秒. h:時間. i:エンタルピー. 

1-7) ガス化塔先端のガス噴出速度v: 排出口径がφ1,000mm 

                           v≒(0.785㎡÷3.14㎡)×5.3m/s=13m/s. 

1-8)燃料消費量:液化LNGの新発熱量12,000Kcal/Kg 燃焼効率を100%と 

   すれば、燃料消費量は5,681,306Kcal/h÷12,000Kcal/kg=473.4Kg/h.

     液化LNGの価格54円/Kgだから単位時間あたりの燃料消費量は、

  473Kg/h×54円/Kg=25,542円/h=613,008円/day 

                        故に、燃料費≒220,682,880円/年

 

〈結果による考察〉

   トリチウム汚染水40万トンを、本発明の処理装置1台で処理した場合、

大気対流圏へ拡散し、完璧に無害化するには、約5〜6年の歳月を要する。

 以上.

むすびとして

 人類の希望とした“原子力の灯火”も、自然災害と無縁ではなかった。

しかし、“自然は偉大なホスピタル” 人類が直面する災厄の惨事も所詮自然の産物であるから、蓋然性として自然が、自然科学が必ず解決してくれると信じてやまない。

             (株)ライラック研究所所長 工学博士 平岩 節

                  2005年1月31日Biglobe-Webで公開n